中川酒造は鳥取県東部地域では最も古い歴史を誇る酒蔵です。創業は1828年(文政11年)にさかのぼり、以来、長年伝えられた伝統を守りつつ、丁寧な酒造りを行っています。日本海に面した鳥取市は冬の時期には非常に寒く、また、源太夫山の良質な伏流水に恵まれており、酒造りには適した条件が揃っています。
原材料の地域性・伝統・品質を守ることに、日本酒銘柄の独自性、そして地酒の持つ意味あるべきではないかとの想いから、強力米にこだわり復活を願いました。「先人が残した鳥取独自の酒造好適米を使って地酒を醸したい」という蔵元の想いから米の種子を各所で探したが、入手できる種子が見つからず、強力米復活への道のりは平坦なものではありませんでした。
しかし、昭和30年(1955年)に鳥取大学農学部で酒造好適米15品種を用いて試験栽培を行った時の品種見本が育種保存してあり、そのなかに「強力」もあったことがわかり、蔵元の想いに共感された当時の農学部教授によって種子が提供されることになりました。 元篤農家とともに米作りから挑戦。低淡白な米質を重視するため、低収穫量を覚悟の上で減農薬・低窒素肥料などを心がけ、見事、酒米「強力」は平成元年(1989年)に復活しました。これを用いて、地元篤農家とともに米作りから挑戦した酒が「いなば鶴 強力」です。